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[コメント] 地獄の黙示録(1979/米)

そう、勿体ぶった演出をしなくとも・・・。
ちわわ

と思った。ちなみに僕が観たのは完全版の方です。

「地獄の黙示録」という日本語タイトルからしてひどい。 黙示録には、天国も地獄もないだろうに。。 「現代の黙示録」というのもあまりよくないような。 でも「黙示録、今」では意味不明かな。

ベトナム戦争を知らない世代の、日本人たる僕には、この映画の 物々しさがついていけないのかもしれない。50分短いオリジナルで観るとそうでも なかったのかもしれないが。

それにしても、評価は分かれる映画だと思う。少なくともモニュメンタルな意義という 点では、70年代世界でもっとも重要な作品のひとつであることは間違いない。

最近の映画のようにCGを使わず、これほどの場面をつくっていくのは 一種狂気じみたすごさも感じる。

ベトナム戦争が終わったあと、ヨーロッパ近代が生み出したドリーム・ランド 「アメリカ」の真の姿を、東南アジアの自然を舞台にロードムービーの手法で 照射してみせた(というか、みせようとした) という意味で重要な作品であることは間違いないだろう。

しかし僕がもっとも違和感を感じるのは、「アメリカ」をその外部から語ろうとしつつ、どうしても「アメリカ」から抜け出せないジレンマのような部分かもしれない。 そのジレンマが、熟慮されて芸術的表現にいたった、というのではなくて、 そのジレンマ自体を作品にそのままぶつけてしまった感がする。

そうしざるを得ないものなのかもしれないが。

そもそも、ひとつの国家を映画のテーマにするというのは、不可能なケースが 多いと思う。日本にせよ、中国にせよ、フランスにせよ。それはそれらの国家が 主題として抜き取るには、あまりに「自然な」ものだから。 しかし、理想の国アメリカでは、それができてしまう。 逆にそれができてしまう、ということ自体が、近代的思考から 抜け出すことができないことをあらわしているのかもしれない。 そういった意味でも、タイトルが、修羅でも地獄でもなく、 キリスト教的な「黙示録」である必然性があるのだろう。

しかし「黙示録」ではなかった。黙示録は、すべての人類が最後の審判を うけて解決するのだが、解決はしていないのだから。それとも2004年という今も、 黙示録は続いているのだろうか?

(評価:★3)

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