多くのひとが指摘しているように、登場人物の「こころ」が わからない、というのはいえるかも。

でも、監督はあえて 描かなかったんだね。仕事を全うするということが、彼らの こころだし、犠牲者への態度でもあるんだからね。

犯人側の視点を省いたのも、監督の意図が働く人々のほうに あるからだよね。

実際、あんなヘビーな場所にいったら 相手の気持ちなんて考えていられますかって。

でも、ネクストワンが問題。

複雑な心情とかより 割と単純な生きる態度に基づいた登場人物の動きに重点を 置いたのは、判るのだけれど、それはどこに向かうのですかね？

「映画的娯楽」？　たぶん・・・

でも実在した過去のエピソードは 映画的娯楽としてはどうしても不完全なものでしょう。

英雄伝としての不完全さ・・・。そう。監督の意図はたぶんここにも ありますよね。

当初の予定より死者・けが人を出してしまった。作戦は 失敗だった。このことは示唆されてます。 登場人物の笑いを誘う滑稽さ、もこの映画の重要な要素ですし。

でも全体としてみると，そこに力点はない。 これは歴史の事実に基づいた要素であっても、映画で描かれた事件は ずっと重いものですし。

なにか居心地の悪さを感じてしまいました。

過去の事実を見返す、というおそらく観る側ほとんどの当初の意図にそうなら プロジェクトXの方が満足させますし。

いやそんなことはない、映画には映画のよさがある、というのは確か だろうけど、その「良さ」が今一つ鮮明ではないんですよね。

結果、それなりの娯楽作に仕上がっていながらも、どこか弱い作品に なってしまったように思います。でも原田監督の作品には、他には ない魅力があるのもたしかだと思いますけどもね。