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[コメント] ボーン・スプレマシー(2004/米=独)

ボーンは意外と速く逃げる。(パメラ・ランディ)
おーい粗茶

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







「逃げる・追う」という行為をジェイソンといっしょに体験できるような作りがいい。ベルリン&モスクワの大々的なロケに感涙!

ボーンシリーズが徒手空拳の面白さにあることに異論はないだろうと思うが、であれば前作よりも手持ちカメラのウェイト増しでジェイソンを追っかける本作のスタイルのほうがはまる。ベルリンの広場をぐるぐる周回する市電にデモの一群がかぶさっていくなかの敵中突破ならぬ敵中接近。人ごみとすれ違う駅の通路。子供のころ「今日はスパイの気分」になって電車に乗ったりしていた時のワクワクを思い出させてくれる。『フレンチ・コネクション』を彷彿させる電車の乗降を使った逃走での、一瞬の判断切り替えの、その「ほんとうに瞬時の」っていう感じの間のとりかたの素晴らしさ! 

車で追跡中の敵が橋の近くへ車を停めると、数歩歩道を横切って橋下の川に沿う道を向こうに逃げていくボーンを躊躇なく狙撃するまでの連続性。そのままカメラが振りもどされると地元の警察が男をとりかこんで…なんていうのもたまらない。アクションに躍動感を与えると同時に、回りっぱなしのカメラが周囲の風景を270度くらいぐるっと切り撮って、場の臨場感も獲得しているという心憎さ。

冷戦時代のスパイ物好きにはベルリンだけでもたまらないうえに、なんと小雪舞うモスクワまで出てくるとはね! 最後に出てくるジェイソンが侘びをしに訪れる娘の住んでいる団地の造形なんてたまらない(何回目の「たまらない」?)。東欧の都市は70、80年代の近代化が抜け落ちた町並みの美しさがある。なかでもモスクワは『ロシア・ハウス』や『セイント』の時も感激したくらいの私だから、路面なんて凍結しちゃってんだろうにまさかのカーアクションとは恐れ入った。ボーンの車が8(10?)車線の大通りに路地から飛び出してくるところなんか思わず「うぉっと」と声が出た。(これメイキングみたら、路面凍結も大通りのシーンも撮影が凄く大変だったと言ってた。その苦労の甲斐ありますよ。この画面の贅沢さ!)しかもあのカーアクションの、引き、車内、寄り、引き、車内、顔、寄り、町並みみたいなカット割り、マンガ好きの私にはたまらない!(<また) 

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (7 人)たろ[*] uyo[*] Orpheus dappene[*] TM(H19.1加入)[*] けにろん[*]

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