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[コメント] THE 有頂天ホテル(2005/日)

俳優たちの役作りも、重厚さのない舞台装置も、すべてがギャグウェルカムな体勢を感じてしまう。「本人たちはいたって真面目」というギャップの面白さには欠ける。
おーい粗茶

**ネタバレ注意**
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これはもう完全に好みの問題で、監督としては舞台が一丸となって喜劇を志向しているような雰囲気で作っているんだと思う。だから、みながみな自ら進んで変人に転じているといった要素を強く感じてしまうのだ。でもそれよりは、この話の笑いの基調は、年の瀬の業務に忙殺されていたり、個々人の事情に振り回されているといった「真剣さ」から躓くことで起こるドタバタにあるように思う。役所広司とか佐藤浩市とか角野卓造の役は、本人たちはおかしくある必要がなくシリアスそのものでよくて、彼らが置かれた状況とのギャップによって笑いが引き起こされるというほうが面白かったように思う。

死を覚悟の若い議員のストーリーはふつうにシリアスなドラマが進行していて、自殺を図ろうとする寸前で「ドンキホーテ、サンチョパンサ」を耳にする。それを歌っている方も、これが歌う最後のチャンスとばかり、東京との訣別をこめて真剣に熱唱するというのでいいのではないだろうか? 松たか子の役もシングルマザーで生活に苦しくて、ふと魔が差してついお客のアクセサリーを手にしてしまうというところはリアルに貧しさを感じさせて、鹿の交配のような多分に地味な仕事をやっている男はとりあえず実直でよくて、唯一の汚点がクネクネだ、とかのほうが、その後ののっぴきならない状況に巻き込まれていく面白さが際立つと思うのだ。

その点だけを考えてあえて言い切ってしまえば、三谷脚本を、最初っからコメディやる気まんまんでない別の人が演出するっていうのもありだったのかな、とも思う。でも三谷監督でないと笑いにできない演出もたくさんあるわけで、そのへんは難しいかな。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (5 人)ダリア[*] DSCH[*] Osuone.B.Gloss[*] づん ぽんしゅう[*]

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