コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] フライトプラン(2005/米)

大事なのは、「勝ち負けの問題」なんじゃないだろうか?
おーい粗茶

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







最後どうもスカっとしないのは、実行犯を撃退したことでめでたしめでたしとし、ジョディを悪者にしてきた者たちの敗北感をきっちり描いてないからだったと思う。

ほら、やっぱりジョディの言ってたとおりじゃないか!っていうのが、観客の感情の沸点になるわけで、噴煙の中から娘を抱きかかえて彼らの前に現われたジョディは、信念を貫き家族を救った勝利者であり、彼女を信じてやれなかった者たちはただ彼女を呆然と見送る敗北者でしかない。彼らがある意味人間として彼女に負けたのを見て観客は本当のカタルシスを味わうのではないだろうか? 

本来この物語ってそこに行き着くべきために描かれた物語のように思えてならない。それこそ機長を融通の利かない役人体質の男とか、技術屋を見下すような鼻持ちならない人物に設定してでも、明確にジョディとの対立色を強めた上でその勝敗を描いていく。一昔前のハリウッドなら、そう括っていたんじゃないだろうか。「信念をもって家族のために戦う。戦わない者は敗北者だ」と言う言説にのりきれなくなったアメリカ人のメンタリティが、もはや勝ち負けよりもお互いを許すという融和ムードな結末を好んだのだろうか(試写のアンケートとかで。…しかしアラブ人にもその姿勢を要求するところが、まあなんていうかさすがアメ…)。

もっとも航空会社職員による自作自演のハイジャックというトンデモ設定と、セキュリティ面の脆弱さの描写があまりに現実とかけ離れたひどいものとかでクレームが入り、航空会社をあまり悪く描けなくなっちゃっただけかも。

(評価:★3)

投票

このコメントを気に入った人達 (2 人)プロキオン14[*] けにろん[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。