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[コメント] ディパーテッド(2006/米)

両方を並行で描く面白さはなかったかも。
おーい粗茶

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







やっぱり対比を描くからこそ面白いんだな、と思った。マフィアの組織に潜入した刑事と、警察にもぐりこんだギャング。これってやっぱり双方の対比を描かなきゃどっちのケースを描いたところでただの潜入ものにしかならない。なにかオリジナルと訣別しようと意気込み過ぎて、肝心の素材の良さを殺してしまった感じ。一番のがっかりは双方に「鼠先輩」がいたことだ。先の読めない展開+潜入捜査のリアリティあたりの発想で生まれた設定なのだろうけど、彼らの存在を主人公ふたりはまったく気が付かなかったという時点で、2点で萎える。

一つは、双方の鼠先輩の方が組織により疑われていなかった(リスクを恐れて慎重に行動していたとしても)ということで「主人公たちより優秀なのでは?」と思ってしまう点。これのたちが悪いのは「だったら先輩のほうの物語が見たいわ」と気がそがれること。もう一つは潜入捜査員の価値が下がること。冒頭での主人公二人の経歴、バックボーンの改竄、教育と、時間も金も相当の投資をして、磨きに磨きをかけて作り上げた存在であるという描写が、ほかにもいるってことで「唯一無二の二人(変な言い方だけど)」って感じじゃなくなることです。もともと対比を描くことを捨ててるので、2人の激突が4人になったところで台無しになるってことは良くも悪くもなかったし、それどころか後述するけど、対立は2人の間に起こるだけでなく、双方の組織内外で対立の交通渋滞が起きているほどカオスなので、二人に照準を合わせたところで印象弱いけど。

あとオリジナルは対比を描こうとすることで、光堕ちも悪堕ちも描けていたのに、本作はどっちとも初志貫徹だったことで、作品のテーマは「バれるかバれないか」のハラハラどまりだったのも期待がそれてしまった要因だった。でもハラハラだけで十分面白かったところと、警察もマフィアも実は内部分裂や背信が常態化していて、自分が人生を殺して溶け込もうとする集団がそのあまりの荒れた現場に、潜入捜査員がたまにイラっとしているところなんかはオリジナルにはない面白さがあって良かった。

(評価:★4)

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