コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 松ヶ根乱射事件(2006/日)

割れ鍋に綴じ蓋という共犯関係。
おーい粗茶

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







やまほどいる、本来正されるべき町の人間たち。彼ら発の「問題」は沸騰寸前までに高まって、閉塞を破る「事件」になりそうに見え、鍋の底に空いた穴や蓋の割れ目から、汁や湯気が漏れていくように収束していく。タイトルの意味は、松ヶ根という地域と共犯関係になることを拒んだ巡査の発砲だけが、唯一公式な「事件」として残っているということなんだろうか。

あやまった世界の中心では、明日に向かって撃った者一人だけが、あやまちを犯した者として記録にとどめられる。本作は、その背景に隠れている「正されるべき者たち」の存在を思い起こさてくれるし、そうはいってもその突破者だって結局は、共犯者にはなりたくないと思っているだけで実質共犯者なんでないの?ってことも思い起こさせてくれるのだった。どんなに生まれてきた時代や場所に批判的であっても、そこでの人生を享受しているなら、そりゃ割れ鍋に綴じ蓋ということだ。

(評価:★4)

投票

このコメントを気に入った人達 (3 人)DSCH[*] Santa Monica TOMIMORI[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。