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[コメント] 扉の影の秘密(1948/米)

あの秘密の部屋とはなんだったのだろう?
おーい粗茶

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







残念なのは、殺人現場を模した部屋という設定が「動機」にあまり関わっていないこと。

この作品の中で、観客が最も興味をいだくのは、これらの部屋の存在理由と、「開かずの間には何があるのか」につきる。だから開かずの間に侵入する場面が一番面白いし、開かずの間が次の殺人を予感させるところも良い。しかし、そういう空間性にこだわって殺人を犯さなければならないという心性と、夫のトラウマから派生している動機とがあまり結びつかない。「部屋」というキーワードではあるが、「閉じ込められた」という「状況」が、なぜ「空間」という意匠に繋がるのか? なぜああいう舞台を設置しての犯行なのか? そういうフェティッシュな部分での必然性に欠けるので、説得力がないのだ。それらの部屋は大仰な小道具ということだけで終わってしまっている。

また、「鍵のかけられたドア」に異常に反応するという設定がいまいち分かりにくい。あとから妻の台詞で「私がメキシコでドアに鍵をかけたときがそうだ」と言われてやっと思い出せたくらいで、これは夫のキャラが元々情緒不安定な印象なので、「急激な心変わり」というのがあまり異常な感じがせず、したがって「特別なアイテムが引き金になって起こる」という仕掛けに結びつけて考えにくいということによると思う(…気付かないのは私だけかも知れないが)。

なんかもったいない出来。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)寒山拾得[*] 煽尼采

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