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[コメント] ぼくたちと駐在さんの700日戦争(2008/日)

たぶん原作(BLOGも含め)にはあるのだろう、ぼくたちと駐在さんの間の独特の共犯関係というか、暗黙のルールが成立している実際の関係のようなものを映画はつかみ損ねているんだろうな、と思う。
おーい粗茶

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







ぼくたちのやっていることが、犯罪性の乏しい他愛のないいたずらだとしても、警察官と高校生の間に、きちんと取り締まる側と取り締まられる側という、両者の現実的な関係が成立していないとこの話は成り立たない。警官という権力(あるいはきちんとした大人や社会)をからかうからこそのスリルであり、そのおかしさの本質は、つまり互いに親しみを覚える隣人でありつつ、ある局面ではきっちり立場上の断絶を提示するということを両者とも分かっているという、その両者の「なんともいえない現実的なバランスのとりかた」こそが一番重要なのだと思う。いたずらそのものが面白いというよりも、こういういたずらがなぜか成立してしまっている両者の距離感、互いの空気の読みぐあいそのものにおかしさが潜んでいるはずのように思う。

おそらく原作(BLOG)が提示している面白さは、その話のリアリティにあると思う(仮にそれが作り話だとしても。いや、作り話なら尚更だ)。現実的な話の上での、悪戯だから面白いのだと思う。

たぶんこの映画が「凄く面白い」と私に思えなかったのは、映画が、この両者の実際に醸していた雰囲気がよくわからずに、警官と高校生の「仲良く喧嘩」という不思議な状況を、戯画的に処理することで解決してしまった。また、要するに彼らは大きいけど子供なのだ、というふうに納得してしまった。そうすることで、「ぼくらと駐在さんのワールド」のリアリティをフィクションあるいはファンタジーのようにしてしまった。

そうなってしまうと、リアルな高校生生活の上でこそ面白いと思えるような悪戯も、何でもありのように思えてしまい、精彩が薄まってしまったように思う。「巨乳ちゃんにブラを借りての女装」や「打ち上げ花火」は、フィクションやファンタジーの中では、さほど面白くもないし感動もしないということではないだろうか?

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)ぽんしゅう[*]

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