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[コメント] アイアンマン(2008/米)

役者の色気というものの凄みを感じた作品。
おーい粗茶

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







50代後半でもヒーローものは標準以上に好きなほうだと思うが、この年齢で初めて知るものにはあまり興奮しないものなのかも。エヴァの戦闘シーンなんかはいまだに興奮できるのに、正直「アイアンマン」の出てくるシーンは特に面白いと思わなかった(といってもつまらなくはないけど)。なのでジャンル映画として適切な評価ができないのだけど、この作品凄く面白かった。

理由は、ロバート・ダウニーJr.、ジェフ・ブリッジズ、テレンス・ハワード、グウィネス・パルトロウらの一級俳優陣らの醸しだす雰囲気による。無名の俳優がヘタくそではない標準の芝居をしても問題のない場面になっただろうけど、絶対この作品のような味は出せないと断言できる。どこがどうとは言えないけど、こういうのを上手い芝居というのか深みというか、オーラというものなんだろうか。喩えて言えば、ただの老婆の役をそれなりの年齢の無名の役者がやるのと樹木希林がやった場合の違いというか。

で、そのプラスアルファが悪目立ちしていなく、お互いの演技を潰し合うわけでもないアンサンブルを保ち、「特撮パート(とわかりやすく言います)」と調和しているのはもちろん、作品の基調音を生み出しているのだ。特撮ものの「ドラマパート」が重要なのは、東宝特撮映画でもやっぱり本多猪四郎監督作品が一段階格上に思えるのはそういうことだと思う。特撮作品の「ウソ」をドラマパートの雰囲気でウソを感じさせない世界観のリアリティを成立させてしまっているのだ。わかりやすく言えば、あつかっている題材のキナ臭さも含め、「軽妙」こそこの作品の基調なのだが、それをメインの俳優陣は見事に捕らえて自分が果たすべきことをわかって演じている凄さというものというか。

私が一番惹かれたのはペッバーというキャラクターだが、グウィネス・パルトロウなんて知らない男の子が観ていてもまったく問題はないだろう。でもこのペッパーというキャラクターにここまで愛らしい人間味を加えられるのは誰にでもできることじゃないのだ。それがただ立って挨拶するファーストシーンから出ちゃってる。あの人の芝居、色気があるよね、っていうものの凄みを改めて知った。

(評価:★4)

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