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[コメント] アウトレイジ ビヨンド(2012/日)

「俺、もうそういうのいいよ」という大友の台詞は、ビートたけし・北野武のこれまでのすべてを背負っているかのようで、リアルタイムのたけしファンの私にはとても生々しく、これがこの映画のすべてだ、といいたくさえなる。
おーい粗茶

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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本作で最もドスの効いた場面である塩見三省が武に銃をつきつける場面、この塩見三省に対抗できる芝居って、あの鬼気も迫ってこない、ヤケクソでもない、ハッタリでもない、自滅願望でもない、あの大友のどこかどうでもいい感じしかないよなあと感心。(それに対しほんのわずかに躊躇する塩見三省の受け演技が完璧! 続く中野英雄が指を食いちぎり、それを無表情に眺めるたけしまでの中野、たけしの芝居もたまらない。)

この大友の「もういいよ」を軸に、すべてのヤクザ芝居が惑星のように回っているような作品という仕上がりになっている。ふてってパチンコ屋で刺されていく三浦友和も、次第に打たれるままになっていく加瀬にしても、最後に撃たれる小日向文世にしても、絶命の瞬間「もういいか」って言ってそうな気がする。要するに悪をしつくして前作から生き残ってしまった(前作で死ねなかった)やつらの「もういいよ」が「アウトレイジ」の「ビヨンド」なんだろうな。

だから、本作から登場する新規参入組は「もういいか」じゃなくて、それが前作組の「もういいか」を引き立ててる。桐谷、新井コンビや、台詞・素顔なしの高橋克典はその最たる存在で輝いている。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (13 人)ロープブレーク[*] 緑雨[*] サイモン64[*] 3819695[*] 甘崎庵[*] ナッシュ13[*] きわ[*] けにろん[*] 太陽と戦慄[*] ガリガリ博士[*] ぽんしゅう[*] セント[*] DSCH[*]

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