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[コメント] ムーンライト(2016/米)

人の背中。
おーい粗茶

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







自分の生き方は自分で決めなければならない。なのだが…そう言えるのは、ごく当たり前の愛を他人から受けてこそなのだろう。親、友人、隣人…そういうものからの愛、そういうものへの信頼が前提や土台となって、人は初めて「背後から襲われる心配」をせず、背中を向けて=前を向いていられるんだなぁ、と思った。売人として自立したシャロンも結局は愛にすがるしかなかった。ケヴィンにはその気はないようだが、シャロンに愛を与えてやれるのは自分しかいないことを分かってのラストだったように思う。

自分だけかも知れないけど、たとえば知り合って間もない女の子と部屋で一緒にいて、その子が台所で料理を作ったり、何かを探そうとしたりで、初めて自分に対し背中を向けた時、それが無防備であれば無防備であるほどキュンとする時がある。それって自分に心を許してくれてるんだろうな、というふうに思うからだと思う。

この作品ではシャロンの歩く後ろ姿を撮ったカットが多い(気がするだけかも知れないけど)。サッカー遊びの輪から外れる時、とぼとぼ歩く下校時、ケヴィンのレストランに駐車場から店に入るまで。それは孤独を印象付けるオーソドックスな演出以上のものを感じる執拗さを感じた。そのシャロンを見ているぼくらは、いつでも彼を襲うことができる…そんな視点を感じさせるような意図を感じた。つまりシャロンの背中、そして人の背中を見ているぼくらは、彼やその他人にとって信頼のおける人間なのか、を問われているような…。そんな風に思ったのは、もちろんラストカットで月光の中で背中を向けていたシャロン少年が、最後に振り返ってぼくらのことを見据えるからだろう。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)けにろん[*] ぽんしゅう[*] jollyjoker[*]

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