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[コメント] TENET テネット(2020/米)

理屈好き人間による理屈好き人間のための映画。こりゃ
おーい粗茶

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







コケるかもなぁ。。

この映画って、〈1〉「空港(のフリーポートの倉庫)」、〈2〉「〃検証部屋(ガラス越しに逆時制の様子が見られる便利な場所)」、〈3〉「ハイウェイ」、〈4〉「スタルクス12」という、時制順行組と時制逆行組の対面バトルで起こる珍現象の視覚的な表現でもっている。これまでの過去に戻るタイムトラベルものでは描かれたことのない「時間の遡上中の様子(正確には順行時間側から見た逆行中の様子)」を描きたくて本作を作ったってことだろう。〈1〉、〈2〉、〈3〉、〈4〉、という場面の創出が、決してそれを描きたいがための方便ではなく、「いったん過去についたら順向きで行動するという自然で知覚的にやりやすい方法ではなく、直接、逆向きのまま順向きの相手と接触するという面倒なことをなぜするのか(自分から見て逆向きの相手の「次の動き」を読むのは馴れていないとかなり困難だと思う)、一々理屈に裏付けられている気はする。ちゃんと聞けば一つ一つ説明してもらえるように出来ているのだとは思うけど、そこまで求める人がどこまでいるのかなぁ? 監督としては「ただ不思議な感覚を味わってもらうだけでいいんです」とリップサービスするかも知れないが、本心はその凝りに凝った理屈を楽しんでもらいたがっている、そんな下心が感じられる。そういうところは『2001年宇宙の旅』やタルコフスキーの難解さと違うものを感じる。

本作のタイムトラベルルールは、劇中何度も台詞に出てくるが「過去に起こったことは変わらない」である。そこは『ターミネーター』や『バック・トゥ・ザ・フューチャー』とは異なる。つまりパラレルワールドは否認されている。どうしてかと言うと、そうならないと「逆向き」が成り立たないからだ。時間は閉じていて枝分かれしないからこそ、正確に逆向きになるのである。時間を遡上した人が何か新しい「原因」を作っても、その結果は常に歴史的に回収済ってことだ。セイターがベトナムで行方不明になったということは、キャットに殺されることで回収されるし、ラストで洞窟の奥の鍵のかかった柵の向こうで死んでいたニールが生き返り主人公を助けるために、ニールは最後主人公と別れたあと、洞窟に向かって柵の向こうにいって鍵をかけて、ボルコフ(だっけ)に撃ち殺される筈だ。この因果律系のタイムトラベルものっていう考え方が、なぜならこうこうこうだから的なそもそも理屈めいたものなのだということが改めてわかる。

で、そうなるってことは、どんなに主人公たちがジタバタしたところで、未来の結果は変わらないってことにはならないのだろうか? それが量子力学の不確定性みたいに「どっちの状態でもある」みたいな話で、相対性理論では説明できない理屈なんだよね…みたいな話なのだろうか? もうとてもついていけない。。

ところでこの作品の難解さって「逆向き現象」そのものよりも、いくつかのミッションの描写が駆け足過ぎることのほうかも。もう少しはしょらないでやるか、情報量を少なくくしたほうが良かったと思う。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)けにろん[*] DSCH プロキオン14[*]

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