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[コメント] ナイトメア・アリー(2021/米)

調理しすぎて不味くなった怪異譚。
おーい粗茶

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







サーカスの奇術師が看板娘と駆け落ちし、その技を駆使してショウビジネス界で成功を収めるが、さらなる野望を抱いたことで破滅し、最後はサーカスの見世物小屋の獣人に身を落とすという怪談話。妙味は成功の過程で出会った女がファムファタールだった、というところがこの話の一番くすぐられるところだが、前半に尺をとりすぎ、必要以上の人物の背景を掘り下げたことで、その一番美味しい部分が損なわれた感しかしない。監督がメインディッシュよりもオードブルに力を注いでしまったような印象。

現状の映像技術が良くも悪くも描いてしまう臨場感がこの際邪魔で、これがモノクロのもっと画像がつぶれているような解像度ならしっくりくるのかも。楳図かずおの画風でもいいが、よりマンガとしての絵柄が古臭い藤子不二雄Aならどんぴしゃな感じがするように、表現上の画質が臨場感を左右するがゆえに題材を選んでしまうことがあるような気がする。ラストで獣人の仕事を引き受ける主人公が「私にはそれこそふさわしい」という台詞があるが、なんか道徳的すぎてしらけた。晩年のジョージ秋山かよって思ってしまった。…若い人には喩えがかえって分からないよねぇ。。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)プロキオン14[*]

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