千葉ニュータウンの殺風景さはさしずめメキシコあたりの辺境を想わせる。男の欲望を煽るか、泣きわめいて足を引っ張るか、子供を産むかの性であって思考というものがない女の描き方、誘拐された子供の父親が、誘拐犯がバイクを奪うときに使ったものと同じ銃で撃たれているのに、まるで現われない警察の描き方、社会的な非難が寄せられることも頓着せず、子供を死なせしれっと復讐譚を描いてみせたのも、犯罪物ではなくマカロニウェスタンとして観れば納得。夕陽に焼け落ちる風車と、ギミックで勝負が決する決闘もさもありなん。

気が済むようにやって勝手にいってしまった男たちにくらべて、この後すべてを知った女と残された赤ん坊の呪われた行く末を想像すると居たたまれない気分になり、ずいぶん酷い物語を作る監督だとも思うが、奥さんが可哀想だとか、そういう作品ではないんだからしょうがない…んでしょう。