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[コメント] M★A★S★H(1970/米)

軍医たちの悪ふざけと即物的な手術シーンの対比に強烈な皮肉がこめられていることはわかるのだが、この茶化し方では今現在の時代に対しての有効打にはなりえないと思う(…しょうがないんだけど)。
おーい粗茶

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







非日常に日常を肉迫させることは、当時と今ではかなり受ける印象が異なるように思う。彼方の戦線や災厄の様子が時々刻々茶の間に届けられ、ふだんのわれわれの日常の生活と並行に進んでいる今の感覚。学校や会社から帰ってくると聞くことになる、自爆テロで今日も数十名の市民が犠牲になりましたというようなニュース。白衣の足元からニッカポッカがのぞいているような絵は、当時どういうふうに受け止められたものなのかちょっとわからないが、今見てもせいぜいちょっと不謹慎ではないかと思われる程度で、特段の光景のようには感じない。また、この作品の笑いの皮相的な感じは、当時の時代に対する閉塞感や諦念の雰囲気を思い出してみると何かわかる気がするのだが、今見ても面白くない。

私の世代なら『地獄の黙示録』や『フルメタル・ジャケット』くらいやってもらって初めて、戦争が日常に取り込まれる怖さをどうにか感じるというところだろうが、イラク戦争の映像や映画やゲームでの精密なCGに見慣れた私の子供たちの世代は、これらの作品にさえ不感症になるような気がしてならない(かれらの世の中の捕らえ方って正しく想像できますか? 『宇宙戦争』や『トランスフォーマー』のCGを見ても驚きもしないんですよ! かれらは本当に人が死んだり大怪我している映像に「何」を見ているのかわかりません??)。

ところで、規律だなんだ言ってたデュヴァル大佐は、その後ベトナムでは村を焼き払ってサーフィン三昧とは…。 

(評価:★3)

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