[コメント] WXIII 機動警察パトレイバー(2002/日)
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インダストリアルな風景の叙情感なんかは良く出ているのに、それにとけこむように埋没してしまった生きている人間の感触。なんでみんなお人形さんのような顔にしちゃったのかなあ? 狂った精神を内に宿しているからこその冴子の無表情さが、他のキャラクターの表情のなさのせいで際立たない。だから娘のビデオをぼーっと眺めるところや、顕微鏡で細胞の増殖をみて不気味に笑うなど「説明」をしてやらなければならなかったように思う。歪んだとはいえ「母性」が、(娘の命を奪った)ガン細胞で怪物を育てるという方向に向くかどうかもピンとこないが、百歩譲ってそういうこともあるとして、娘の顔の大きなパネルや、ビデオなど、娘の「映像」を追うという行為と、怪物を娘にみたてて育てるという行為が並行して行われる心性というのはどうもウソくささを感じる。秦が彼女に対して淡白なのも、ドラマの意図としてそうなのではなく、演技のプランが決まっていたからそうなってしまったようだし、怪物を誘導する船(?)が水門に激突して爆破したときに「派手な前座だこと」という後藤隊長の台詞などは、そのシークエンスでのリズムがそういうトーンを選ばせたのであって、本来ありえない台詞だと思う(人が乗っていて死んでいるんでしょ?)。これがほんとうに後藤隊長の口から出た台詞なら隊長の人格を疑いたくなるってものだ。いずれも手段のためにドラマに無理をさせて失敗していると思う。
余談ですが、WXIIIって「廃棄物13号」って意味なんですね。劇場版PART3だから「WX」「III」だと思って、「WXって何だ?」と思ってしまいました。「廃棄物13号 機動警察パトレイバー」にしたところで敷居の高いタイトルであることに変わらないけど。
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