コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン(2002/米)

もっとOPのノリのコメディスタイルをなぞってくるのかと思ったら、思った以上に「父と息子」のドラマを描き込んでいた。コメディとしてはゆるくなっていると思うが、スピルバーグは今、父と息子の関係の理想像を描きたかったんだろうなあ、と好感。
おーい粗茶

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







父と息子の理想の関係。お互いの才能を尊重し、お互いを思いやる、そして悪戯して一緒に笑う友達のようでもある関係。母親の存在は見事に眼中になく、実の父親ウォーケンと精神的な父親役ハンクスとの関係をやや多情に描いている、という感じ。

勘だけど、スピルバーグには息子がいて、自分たちの姿を投影しているんじゃないだろうか、というくらい彼らの人間関係の描写が甘く感じる。トム・ハンクスが登場のハナからデュカに対し慈愛に溢れているのはどうにも変。最初のクリスマスイブに容疑者からかかってきた電話に「話し相手がいないんだろ」と相手の心を見透かして言うシーンがあるが、その場面までのデュカの演技はそれについていってない(観客に「こいつ本当は寂しいんだな」と思わせるだけの表現ができていない)のに、そう言わせちゃっている感が強い。こういうのは監督の中でもうそれを確信しちゃっているからなんだろうな、と思う。

しかもダイレクトに台詞で言わせるのではなく、言外に感じさせるように仕向けるという演出のほうが基本的だと思うのだが、「ハハハ寂しいんだろ、メリークリスマス!」とハンクスに叫ばしてしまう。その描き方の他愛なさこそがスピルバーグならではの魅力なのだろう。

(評価:★4)

投票

このコメントを気に入った人達 (6 人)ゑぎ[*] ぽんしゅう[*] 緑雨[*] 3819695[*] ALOHA[*] けにろん[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。