[コメント] この素晴らしき世界(2000/チェコ)
映画を見終った人むけのレビューです。
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ポーランドの収容所から脱走した青年をかくまう事になった夫婦の映画。
チェコ映画というものをあまり見た事がないので、どうしても音楽や映画の作りの独特さについていけない部分もあるがシナリオ自体はそれほど悪くもない。
ようはユダヤ人青年をかくまう事になった夫婦の苦悩ぶりをナチスを絡めコメディとして描いている映画で、はたから見ればストーリーは違うが展開上は『ライフ・イズ・ビューティフル』のような雰囲気が伺える。
ただ、映画としてみた場合どうしても前半での脱走したユダヤ人青年ダヴィトや親ナチス派のホルストとのエピソードに深い掘り下げがないため、後半でのヨゼフとホルストとの友情の描き方や奥さんのお産シーンでの展開に説得力が欠ける。また各エピソードを中途半端なところで区切ってしまっているため、どうしても話のメインであるはずのダヴィトをかくまうことの重大さが霞んでしまいテーマが曖昧になってしまった。
しかし、ラストのヨゼフの奥さんマリエのお産シーンは前半の伏線をうまく生かしていて全体的にはコメディっぽい作りだが、このシーンでは緊迫感がありつい見入ってしまった。だが、その辺を苦慮にいれてもやはりヨゼフたち夫婦とダヴィトやホルストとの関係に深みがないので、今ひとつキャラの結びつきが弱く、中途半端な印象になってしまった。
役者はダヴィト役チョンゴル・カッシャイを除くとほとんどコメディキャラだが今ひとつ笑いのとり方が弱く、印象としてはやや薄い。しかしマリエ役アンナ・シィシェコヴァーはお産シーンも含め最後まで笑いをとるのがうまく、この映画では一番目立ってた。
映画としての評価は難しいが、後半は割と面白くラストの出来も素晴らしいのでそれほど難しい映画という印象はなかった。ただ娯楽映画になれた人からすればこの映画の雰囲気はかなり独特で今ひとつ評価の基準に困ると思う。
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