コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] ロイヤル・セブンティーン(2003/米)

ストーリーの設定は少し違うが、話のベースが『プリティ・プリンセス』によく似ている。
わっこ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







自分の父親に会いにイギリスに行く少女のサクセス・ストーリー。

ストーリー設定は少し違うが、話のベースが『プリティ・プリンセス』によく似ている。ただ、『プリティ・プリンセス』は主人公と友人や母親などの登場人物同士のエピソードがしっかり描かれ、キャラも個性的で特徴があった分、それなりに感動できたが、この映画の場合、キャラ設定からして類型的であまり特徴がなく、各エピソードも実に中途半端な描かれ方でドラマでの感動要素という点では『プリティ・プリンセス』には劣る。

ただ、その分コメディシーンはそこそこ面白い。特に主人公ダフネが最初に参加した晩餐会で場を盛り上げようとダフネがイアンに頼んで、イアンがジェームズ・ブラウンの「Get Up Offa That Thing」を歌ったらシャンデリアが落ちてくるところや、中盤、マスコミに囲まれたダフネを父親のヘンリーが連れてバイクに乗って逃走してからのハチャメチャな展開はなかなか面白い。

役者としてもヘンリー役コリン・ファースは『ブリジット・ジョーンズの日記』の時とは違ったコメディ演技で、今回もダフネの父親というパートナーとして存在感をうまくアピールしている。中盤、皮パンを履いてノリノリで70年代ソングを歌ってるところも笑えるし、彼の芸域もより広がったように思える。

ストーリー的には、最初はイギリスの上流社会でも自由奔放に振る舞うダフネだが、父親の選挙の支持率の低下が自分のせいだと思ったダフネが中盤以降は、上品に振る舞うという展開になり、話としてもそれ以降は過去のサクセス・ストーリーのようなマンネリ化した展開になってしまい、何とも芸がないなと感じた。少なくとも、ダフネの自由奔放なキャラを最後まで貫いて、ペイン家の嫌がらせにもめげずに頑張るダフネの前向きな姿を描いた方が話としては面白くなったと思う。

それと、ペイン家がダッシュウッド家の座を狙うために様々な妨害をしているわけだが、どう見ても映像的には荒っぽいし、ダフネに知られる前にヘンリーたちが気づいてもおかしくないと思う。現にダフネの祖母ジョセリンは感づいてはいたわけだし。また、ダフネとイアンの恋愛もあまり描かれていない割には、ダフネのサポートとしてイアンが重要な役割をかなり果たしていて、実に中途半端な印象。

役者としてはダフネ役アマンダ・バインズは過去の青春ドラマの映画の主人公キャラをなぞったような演技で、『プリティ・プリンセス』のアン・ハサウェイに比べると個性が感じられず、主役の割に存在感が薄い。助演ではダフネの行く末を影ながらサポートする祖母のジョセリン役アイリーン・アトキンズがいい味を出していた。

総評としては、ストーリー自体が『プリティ・プリンセス』に似ている上に、過去のサクセス・ストーリーものの映画とほとんど一緒のような作りなので、感動はあまりないが、『プリティ・プリンセス』に比べると、テーマ自体は貫かれていると思う。

(評価:★3)

投票

このコメントを気に入った人達 (2 人)HIBARI MM[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。