同僚を殺された探偵が事件の謎に挑むハードボイルド･サスペンス映画｡

謎の美女の依頼に絡んだ同僚が殺されたのをきっかけに事件の捜査をする探偵の話で､ストーリー自体は正統派ハードボイルド･サスペンスな作りで､やや予定調和な展開は気になるが､人間の欲深さ､浅ましさを強調した演出は秀逸で､単なるハードボイルドサスペンスに終わらせない奥深い映画となった｡

ラストでマルタの鷹の中に隠された宝石を巡って言い争いをする3人の男女の執念深さはなかなか強烈で､サムがあくまで事件に対して､ブリジットの魅力に惑わされながらも､ラストは客観的に問題に対処しているところが非常にかっこいい｡

役者としても探偵のサム役ハンフリー･ボガートは正義感のある渋い役どころを見事に演じていてかっこいい｡はまり役｡サムに依頼する謎の美女ブリジット役メアリー･アスターのどことなく妖艶な美しさと演技も印象的｡