相手の夢の中に潜入し､模造した別の夢を植え付ける任務をこなす潜入スパイのＳＦサスペンス｡

この作品での夢にちなんだ設定(他者の夢を共存できる機械とか夢の中で新たな世界を構築する現象など)は『エルム街の悪夢』シリーズで既に達成されてしまっている印象で､思ったよりも新鮮味は感じられない｡

ただ､さすがに予算がかかってるのか､夢の中で展開される特撮やアクション､世界観の構築には大作らしいスケールが感じられ迫力がある｡主人公コブから生まれた妻の潜在意識がホラーの殺人鬼さながらに､主人公たちの任務を妨害しに現れるのも面白い｡

ストーリー的には､今までの任務とは違って､夢の植え付けの時は鎮痛剤の効能のせいで夢の中で死亡しても現実世界で意識を回復しないという部分は緊迫感があっていいのだが､終盤ではその設定が案外蔑ろにされている気がする｡また､相手の夢に模造した夢を植え付けるという部分も､終盤ではそういった作業をしているシーンもないので曖昧な印象｡

映画としては夢の中で主人公らが潜在意識に襲われるシーンはせっかく夢の中なのだから､夢の中でしかあり得ないような奇想天外な表現の映像も見てみたかった｡この辺は『エルム街の悪夢』の方が優れていた｡