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[コメント] マリーゴールド・ホテルで会いましょう(2011/英=米=アラブ首長国連邦)

インドにやって来た男女の新たな岐路を描いた話として見ればよく出来ているとは思うが、タイトルにあるホテルそのものが話に生かされている作品かと言われるとちょっと微妙な気がする。
わっこ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







インドのホテルに長期滞在でやって来た7人の熟年男女の人生ドラマ。

余生を過ごすためにインドにやって来た男女の人生の岐路を描いた群像劇という印象。

長年夫の病気の介護に追われ没後も夫の借金のために家も売り払い心機一転インドでの1人暮らしを決意したイヴリン、少年時代にインドに住んでいた際に交流のあったインド人の少年の関係でしこりを残し彼を捜索するためにインドにやって来たグレアムなど各々に事情を抱えた男女がインドで過ごすうちに心境を変化させていく様子が描かれる。

個人的には、結婚生活で良い事もなく残す物も無いので躊躇することなくインドでの生活に素直に溶け込むイヴリンに対し、子供に退職金を投資してしまったために予定していた人生設計から妥協してインドでの生活を選んだダグラスとジーン夫婦とで、同じような理由でインドにやって来た2組でも、適応の仕方にかなりの差異があることが興味深い。

特に神経質でインドでの生活になかなか適応できないジーンの姿は、一見、適応能力が無さ過ぎるようにも見えるが、元々予定したプランが既に色々な事情で崩れている中で最後の期待だったインドでのホテル生活が予想外のボロ・ホテルとなれば、気持ちに余裕が無くなるのも納得してしまう。

そんな彼女に対して夫ダグラスの方は対照的にインドでの生活に適応して楽しんでしまうとなれば気持ちがすれ違っていくし、そんな中で唯一、心情的に縋ろうと思っていたグレアムがゲイだと分かり、さらにダグラスとイヴリンが寄り添っているところ見てしまっては、当然、心の拠り所が無くなってダグラスとの結婚生活に見切りをつけてイギリスに帰ろうと思うのも仕方ない気がする。

ただこの映画で残念なのは、タイトルにマリーゴールド・ホテルとあるのに今ひとつこのホテルが占める重要性が伝わらない点にある。

例えばホテルに来た男女と平行してボロ屋のホテルを建て直す青年ソニーのエピソードも描かれるが、その割りにソニーはホテル建て直しのために出資者を探す努力をしているような描写も少なく、その反面、彼女のスナイナと会うことに夢中な描写が多いので、彼が真剣にホテルを建て直そうとしている様子が伝わらない。そんな中で母親に屈服しホテルを売り払おうとしているソニーに対して、インドに来て人生観を見直すことが出来たミュリエルが出資者との交渉をサポートしてホテルを救済するシーンを見せられてもあまり感動出来ない。

また他の滞在者にしてもホテルに対する想いというのがほとんど描かれないので、ホテルから出て行くことになる場面でも困惑する様子もなく、割とすんなり受け入れてしまっているので話が盛り上がらない。

なのでインドにやって来た男女の新たな岐路を描いた話として見ればよく出来ているとは思うが、タイトルにあるホテルそのものが話に生かされている作品かと言われるとちょっと微妙な気がする。

(評価:★3)

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