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[コメント] わたしは目撃者(1971/独=仏=伊)

せっかく目の見えない元記者が姪っ子や新聞記者の視覚の情報と耳で聞く音を頼りに事件を捜査するという展開を作ったのに、彼の目が不自由な設定があまり生かされずに話が進んでしまうのはもったいない気がする。
わっこ

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遺伝子研究所の関係者の連続殺人事件を調べる新聞記者と失明した元記者のサスペンス映画。

せっかく目の見えない元記者が姪っ子や新聞記者の視覚の情報と耳で聞く音を頼りに事件を捜査するという展開を作ったのに、彼の目が不自由な設定があまり生かされずに話が進んでしまうのはもったいない気がする。目の不自由なフランコの情報を手がかりに新聞記者のジョルダーニが事件を調べる過程も、後の『ボーン・コレクター』などのサスペンス映画と比べるとだいぶお粗末。

フランコ役のカール・マルデンがいい演技をしていただけに残念だった。

後、最初に殺されたカラブレシの婚約者のビアンカが彼の車から見つけた犯人の正体を示すメモの内容がなんだったのかが、最後まで明かされなかったのも消化不良。せめてメモの伏線は有耶無耶にしないで欲しかった。

個人的には、この映画で描かれている、研究所で人間を殺人者に追いこむ要因が高いとされているXYY染色体を研究しているという設定はいいのだが、犯人をXYY染色体の持ち主にしたことで、“XYY染色体の持ち主=殺人者”という身体的特徴から犯人を区分する方向性に持っていってしまうのはちょっと評価しかねる。

それだったら、XYY染色体の持ち主が犯人と思わせといて、XYY染色体ではない人物を犯人にした方が、XYY染色体の云々で人を判断できないという皮肉めいた結末になってよかったと思う。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)ペンクロフ[*]

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