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[コメント] イヴの総て(1950/米)

ベティ・デイビスは地で演じているようなリアルな演技で、自分に突きつけられた現実を素直に受け入れるところが実に素晴らしかった。
わっこ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







自分のファンの女性を気に入って自分の世話係に使わせた女優とファンであった女優と知り合いになったのをきっかけに彼女を踏み台にして女優の道を踏み始める女性の顛末を描いた映画。

大物俳優に取り入って、踏み台にして芸能界を這い上がるという話は芸能界に実際にあることだけに、ストーリーにはリアリティがあり、登場キャラも現実的にいそうなキャラなだけに感情移入しやすかった。

ストーリー的には、大物女優マーゴのファンであったイヴは最初は純粋に彼女の傍に入れるだけで幸せだった純粋な性格だったのに、女優としての彼女の姿を見る内に女優への道を目指し、彼女を踏み台にして徐々に女優としての道を勝ち進んでいき、性格も一変して、劇作家の妻カレンを脅したりとエゴを剥き出しにするという彼女の浅ましさを描く一方で、マーゴは自分の仕事をイヴに横取りされ、女優としても風格がどんどん失われていくことに焦燥感を持つが、先に待っている現実を受け止め、大人しく引き下がるという、全く異なる顛末を迎える二人の経緯を実にバランスよく描いているところが素晴らしい。

普通複数のエピソードを同時並行的に描くと、どちらかがかなりおざなりな印象になりがちだが、この映画は中盤を境界線に二人の女優の体制関係が逆転してしまうのが実に興味深い。

役者もマーゴ役ベティ・デイビスは地で演じているのではないと言うぐらいリアルな演技で、自分が演劇界で必要とされないという現実に直面した時にその現実を受け入れるところが実に素晴らしかった。イヴ役アン・バクスターも女優として一人前になっていくにつれて性格が急変するところはなかなか恐い。最初の頃のキャラと比べるとかなりギャップを感じてしまう。

ラストはイヴもマーゴと同じ道を歩んでいくことになるという自業自得な展開で、その後彼女がどうなったのかは気になるところ。

(評価:★5)

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