犬に関わった三人の男女の末路をオムニバス形式に描いた映画｡

最初のエピソードのオチが他のエピソードの伏線になるのはなかなか面白い｡内容自体は結構ハードだが､その割にインパクトは薄い｡というよりラストのオチを考えると一匹の犬に関わった三人の生き様を描きたいのだろうが､その割にはエピソード上必要ない人物を結構メインに描きすぎる面がある｡

兄の嫁に恋してしまった青年のエピソード場合は結局､青年オクタビオと兄嫁スサナの叶わぬ恋愛を描きたかったのだろうが､なぜかオクタビオの兄のエピソードを終盤で描いてしまっている｡雑誌編集者と不倫している元モデルの場合は､浮気を打ち明ける愛人のエピソードを元モデルの女性以上に目立たせてしまっている｡ホームレスの老殺し屋の場合は依頼のターゲットである男を終盤メインとして持ってきてしまっている｡

三つのエピソード自体はなかなかいいと思うが､あのラストの割には三人の心情は描ききれなかった印象を受けた｡犬の使い方は上手かったと思うが､エピソードには深く切り込んでこないため印象は薄い｡

ラストにスキンヘッド頭で出てくるガエル･ガルシア･ベルナルが異様に怖かった｡