コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] DRIVE(2001/日)

ある種、同じ監督の『MONDAY』のようなノリだが、この映画の場合は監督の個性が強く出すぎで返って素直に笑えない。
わっこ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







頭痛に悩まされる真面目な営業マンが様々な人と出会うことで人生を変えてゆく映画。

ある種、同監督の『MONDAY』のようなノリがあるが、この映画の場合は監督の個性が強く出すぎで返って素直に笑えない。特に各エピソードに無理矢理御都合主義を詰め込んだようなストーリー展開はかなり気になる。少なくとも、前半を見てる限りは主人公の健一の人生が一転する映画という事にはまったく気づかない。演出も金を持ち逃げした強盗の1人が途中で穴に手が埋まってしまい、夜になっていきなり戦死した兵の霊や健一のご先祖の霊が出てくるのは分けがわからない。

最初は金を持ち逃げした仲間を追う強盗達とのロード・ムービーかと思ったら、それはただのイントロにしか過ぎないのだが、その展開が後半の伏線として生かされてはいないので、非常にストーリーの把握に手間取る。はっきり言って、前半の強盗とのエピソードは後半とはまったく無関係なのに時間を多く使っているのは非常に腹が立つ。健一がご先祖の霊のと闘って今までの人生が一転してしまうまでの展開は、結局強盗仲間の一人が忘れた携帯に偶々健一が出ただけのことで、それ以前の展開にしてもきっかけにあまりにも第三者的な演出を使いすぎで各エピソードが飛びすぎ。 これでは最後までキャラに感情移入できないままなので、それが縁によるものという演出だったとしても、もっと前半での伏線を生かして欲しかった。

前半の強盗のエピソードにしても強盗達が過去にどんな経歴を持っていて、なぜ強盗になったのかが説明されないので、強盗が1人ずつ自分の本来の将来の道を探すという展開もまったく感動できないし、面白くもない。

また、不満な部分も多々ある。例えば最初に強盗達が健一の車に乗り込むのだが、なぜ車だけ盗まないのか、なぜマスクを健一の前であっさり取ってしまうのかがわからない。ハイジャックなんてしたら無駄に目撃者を作るだけで金を盗むまではマスクをして顔を隠してたのだからせっかくの計画が台無しになってしまう。さらに途中で強盗の1人の恋人が突然現れるのも御都合主義が強すぎ。他にも一人になった強盗が無茶苦茶に運転して偶々その強盗の妻の入院している病院に止まるというのも展開的に酷すぎる。また金を持ち逃げした強盗も、後半になって携帯で仲間に連絡をとるぐらいの行動ができたなら始めから片手で埋まった方の手を掘り返すぐらいのこともできたのではないのか。他にも健一の母親は父親が自殺した事が原因だとしても突然子供を前にして自殺するというのは母親にしては責任感がなさ過ぎ。また健一のご先祖の霊はなぜ今になってわざわざ現代に出てきたのか、なぜ健一の前ではなく強盗の前に出てきたのかもわからない。

役者もヒロイン役、柴咲コウがメインの名で出ているのに、出番が序盤と終盤だけなのはサギだと思う。 また大杉連筧利夫寺島進といったベテラン勢は無理に笑いを取ろうとしている感があるので逆に演技に堅さがあった。ただ安藤政信が受験勉強のプレッシャーがきっかけで強盗になった青年役で、しかもごく普通にいる青年を演じて演技に新境地を築いているのは興味深かった。

健一役、堤真一は最初こそ個性が弱く、セリフの棒読みっぽい演技のせいで下手っぽく見えたが、後半は個性が確立されていて実に素晴らしい演技をしていた。監督の演出ではまったくキャラが生かされていたとは思えないので、これは殆ど堤真一の演技力だけでここまで引き出したのではないのだろうか?。特に最後まで生真面目なキャラを押し通していて非常に爽快感があった。正直、堤真一の演技だけで映画をまだ何とか見れるものにつなげているという感じ。それだけ見所が全くない映画に面白味を与えている良い演技だった。

映画としては堤真一安藤政信の演技以外はまったく興味が湧かなかった。

堤真一のファンでなければすすめる要素はない。

それにしても、これだけわけのわからない変なシナリオでよくこれだけの豪華な役者を集められたと思うと感心してしまう。

(評価:★1)

投票

このコメントを気に入った人達 (3 人)nob[*] IN4MATION[*] ジャイアント白田

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。