パート仲間が殺した夫の死体をバラバラにして捨てる計画を思いつく主婦の映画｡ 桐野夏生の同タイトルの原作の映画化｡

田中美佐子が主演したドラマ版よりもコメディ色が強く､どちらかというとクリスチャン・スレーター主演の『ベリー･バット･ウェディング』を日本なりにアレンジしたような感じもする。

この映画での見所としては主人公､雅子のパート仲間の弥生が夫を殺してからの雅子たちのやりとりがとにかく面白い｡特に雅子役原田美枝子は金融会社の男､十文字なんかとやりとりする時はクールでかっこいいのに､パート仲間の他の3人との絡みの時は言動や体を張って笑いをとっているのには役者魂を感じてしまう。ヨシエ役倍賞美津子も体を張って笑いを取ったかと思えば1人唯一のシリアスキャラで終盤に深みを与えているし､弥生役西田尚美は夫から暴力を受ける女性を体を張って演じたかと思えば夫を殺してからは最後までマイペースな呑気キャラを演じているし､邦子役室井滋もおいしいところを持っていくコメディキャラを好演していてキャラの個性と役者の演技が見事にはまっていて､実に上手い配役だと思う｡　　　間寛平の悪役もインパクトはあったが主演の4人の好演の方が際立っているので殆ど霞んでしまったのは惜しいところ。

ただ内容に関しては多少不満がある。弥生が夫を殺すシーンで殺意がなく悪戯のつもりやった時の事故で死んでしまったのだが､弥生が夫に悪戯をしようと思うのなら別の日でも当然ありえるのだから､夫の行動にどうしてその時にしたのかという決め手のなるシーンがなかったのが気になる。また､雅子はいくら肩入れしても報われていないのに弥生の殺人にあそこまで肩入れしてしまう理由が簡単に片付けられすぎ｡後､雅子を中心とした3人とのそれぞれの関係はよく描けているが4人全体の繋がりが今一つ弱いのも､なんとも映画的見所が少ないなと感じてしまった｡　　　今回は原田美枝子の演技に助けられた感じ｡

映画としては内容より主役の女優達の演技に感動させられた映画｡