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[コメント] 星に願いを。(2002/日)

観始めてから30分ほど過ぎてからようやく気がついた。「オイ、これってあの映画のパクリじゃん!」[千代田区公会堂 (試写会)]
Yasu

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







この作品が既存の作品のリメイクであるということを全く知らなかったので、「この話観たことある」と分かったとたん、すっかり観る気をなくしてしまった。別にリメイクだからダメだというのではないが、何しろ前宣伝では、この作品が「これこれこういう映画のリメイクです」という文言が全くなかったのだ。おまけにクレジットにも元ネタの映画に関しては一文字も入っていない(帰宅してネットであれこれ調べてようやく確認できた)。このストーリーが、全くのオリジナルであるかのような誤解を生じさせた配給の罪は重い。

いや、罪は配給会社にだけあるのではない。そもそも、リメイクならリメイクで、さらに面白くしてくれるなら言うことはない。しかし、元ネタを知っている人間としては、残念ながらこのリメイクの方が話のスケール的にも演出的にも劣っていると言わざるを得ない(詳細は後述)。これではリメイクの意味がないではないか。

前作『ごめん』でド真ん中ストレートを放り込んできた冨樫森監督だが、この作品では変化球を試した(が、結果的にスッポ抜け)といったところだろうか。次作こそは頼むよ。

ところで、元ネタになった作品のタイトルは、以上の文章中には書いていませんが、敢えて知りたいという方のためにお教えしましょう。

星願 あなたにもういちど』(1999/香港)です。ああタイトルまで激似じゃん…。なぜ観る前に気付かなかったのだろう。

繰り返しになるが、正直なところ私個人としては、断然元ネタのほうをお勧めしたいところだ。なぜなのか、その理由を元ネタと比較して書いてみよう。

※これより下『星願 あなたにもういちど』のネタバレも含みます。

●物語のひとつの鍵になるのが「主人公が演奏する楽器」である。本作ではハーモニカ、『星願』ではサックスがそれに当たる。もうこれだけでスケールの違いが分かろうというものだ。街の中で吹くハーモニカに比べたら、星空を背景に奏でるサックスのほうがどれだけ絵になることか。

●次に、ヒロインを巡って主人公と恋のライバルになる先生の存在がある。本作では高橋和也演じる葉月先生、『星願』ではウー先生という人物である。『星願』では、クライマックス近くで「主人公がこの世に戻ってきたのでは」と気付きかけたヒロインが、夜空に響くサックスの音を頼りに彼を捜し回るが、ようやく見つけると、実はこの時サックスを吹いていたのはウー先生だった、というシーンがある。

これによってヒロインはまた「主人公が戻ってきた」という考えを捨てる(という筋だったと思う)ことになり、観ている方はいい意味でヤキモキさせられるのだが、本作にはそのシーンがない。おかげで、主人公とヒロインがラストで無事に「再会」しても、リメイクである本作は、オリジナルと比べると安直な、薄っぺらな印象しか与えないのだが、それは主人公の恋敵である先生のキャラが、本作では(こういう“タメ”を作るシーンに絡んでこれないという点で)『星願』よりも影の薄い存在になっているからだ、と言ってよかろう。

●あとはヒロインである竹内結子セシリア・チャンの違いになると思うのだが…うーん、やっぱりセシリアの方が華があると思いませんか?

(評価:★2)

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