戦争で南方へ行っていた私の大叔父は、終戦になり船で復員する途中のある晩、部隊の兵たちが、以前から嫌われていた上官を眠ったまま簀巻きにして、海の中へ放り込むのを目撃したそうだ。それを聞いていたので、この話（上官殺し）もよく分かるのだが、もしそんなことがどこの部隊でも起こっていたとすれば、戦争のもたらす狂気がいかに身近であるかに、改めて戦慄を禁じ得ない。