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[コメント] ビートルズがやって来る ヤァ!ヤァ!ヤァ!(1964/英)

これはただのアイドル映画ではない。マスメディア全盛時代に作られたイメージとしてのidol=偶像への皮肉がそこにある。[Video]
Yasu

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







その皮肉は、ジョン、ジョージ、そしてリンゴの3人がそれぞれ本人のニセ者と間違われるところにまず見られる。メディアによって大量複製された「イメージ」によって、本物よりもニセ者のほうが多く出回るという事態。あるいはポールのジイさんが偽サイン入りのブロマイドを売り捌こうとしたのもその象徴と言える。

本物の側にとって、それを認めることは一種のタブーのはずだ。しかし、ビートルズの4人は逆にニセ者と間違われるのを楽しんでいる風にも見える。それは、「オレたちは“idol”なんかじゃないよ」と笑い飛ばしているかのようでもある。

そして第2の皮肉は、本番前に4人がいなくなったことを知ったTVディレクターの絶望的な顏がスタジオのモニタに映し出されるシーン。普段「映す」側にあるディレクターが、「映される」側に回るという構図。それは、「イメージ」の拡大再生産をしてきたメディア側が、(「イメージ」が消えたことにより)その仕事を全うできなくなった時、その責任を取らされ、吊るし上げられているかのようだ。

***以後余談***

1)ジョージがステージで演奏中に軽くステップを踏むのを見て、以前TVで放送されたドキュメンタリーで同じ場面があったのを思い出した。あれ好きだったなあ。もう見られないのが残念だ。合掌。

2)DVDには特典映像として、「A Hard Day's Night」でのジョンとジョージのギタープレイをコピーした教則ビデオが収録されているが、ベーシストとしてはポールのプレイもコピーしてほしかった。

(評価:★4)

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