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[コメント] ヒート(1995/米)

往年のイタリアンマフィア「夢の競演」は、デ・ニーロアル・パチーノがお互いをヨイショしまくりの白々しいOB同窓会の趣。見てるこっちのケツがかゆくなってくる似非「男の美学」博覧会。
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**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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結末近くになって、「仕事ばかりにかまけて家庭をないがしろ」だったアル・パチーノは、義娘の自殺未遂をきっかけに仲違いしていた妻とヨリを戻し、泥棒稼業のために家庭を持とうとしなかったデ・ニーロは、今度の仕事を最後に家庭を持って落ち着こうと決意するも、最後の最後で「男同士の義理」を果たす道を選び、華麗に散ってゆく。その対照的な二人の末路に「男の美学」でも見出させたかったんだろうが……。

違うんだよ。結局ここで描かれている「女」なんて、「女よりも男同士の義理を取る」デ・ニーロや、「仕事バカが家庭に目覚める」パチーノの「男」ぶりをアピールするための道具立てにすぎない。一見女性を立てているかのように見えるだけになおさらタチが悪い。ペキンパー映画に出てくる粗野な「男」どもを見ろ。奴らは堂々と女を道具にしてる。立てようなんて下心がないぶんいっそ潔い。

っていうか、そもそもテーマに「仕事か女か」なんて二者択一をもってくること自体がナンセンス。本当の「男」たる者、「仕事か女か」なんかで悩まないのだ。仕事もバリバリこなし、夜も絶倫で奥さんメロメロ、そして一人の女を愛しぬく。男だったらどんなにツラくても、すまし顔で両立させるもんだ。ブロンソンを見ろ。両立できないジレンマを普遍的なテーマのごとく描く大味なハリウッド流似非「男の美学」にはもうウンザリだ。というか俺はなんで今さらこんな映画を見てるんだ。

(評価:★2)

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