[コメント] 初恋(2006/日)
こういう「初恋」が成立しえたのは、あの当時(60年代)のみに許されたことなのかもしれない。「三丁目の夕日」なんていうダメ映画を遙かに凌駕した秀作。
最近(2009年秋)ろくな邦画に出会っていないので、たとえBSでたまたま観ただけなんですけどなんかこれまでのモヤモヤが晴らされるようなできのいい作品に出会って幸せな気持ちになりました。で、このサイトでの評価を調べてみると・・・ダメじゃん。よしこうなったら徹底的にこの作品を擁護しなければと思った次第。
1)主題は疑うことなく「初恋」であって「三億円事件}ではない。「三億円事件」をネタにして「初恋」を描いたその手腕に脱帽。しかも、この「初恋」に特権性・説得力をもたせるためには「三億円事件」は必要条件であった。
2)宮崎あおいはおそらく日本No.1の女優であることに間違いないことを確信させてくれた作品。
3)60年代の風景のディテールがすばらしい。あら探しをするとアングラ芝居の舞台背景がやや70年代後半ぽい感じがしたことくらいか。俳優たちも皆当時の顔をしていた(宮崎あおいまでもが!)。また科白もそうで、「大人になりたくない」という陳腐なものも当時では立派に成立してえたものであることを理解すべし。そういうことがわからない輩はこの映画はわからない(理解できないだろうな)。
この映画より「三丁目の夕日」の方がよいという人たちが多いから邦画界はダメになっていってるんだと・・・ちょっと言い過ぎかもしませんが。 最後にもう一度。こんな陳腐な「初恋」が成り立ったのはあの「60年代」であったからで「三億円事件」があったからで、それがわかればこの「初恋」は時代性とともに普遍性を持ちうるのです。
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