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[コメント] 七人の侍(1954/日)

「出演者」欄にも出ていないけれど、とにかく本作の主役はあの爺様(じさま)高堂国典
ジェリー

この映画を最近見直した。見直すたびに新発見のある映画はよい映画の証拠だけれども、今回は不思議な経験だった。この映画が、菊千代も、久蔵も、そして夜盗たちも閉じ込めて生きて外に返さない不気味な農村を描いた恐怖映画になっていた。生きて帰ったのは勘兵衛と七郎次と勝四郎だけだった。

この奇妙に閉塞的な農村、今の日本に似ている。いや今の日本というだけではなく、東の外れ数軒をきれいさっぱり見捨ててしまっても村を守るという「大儀」を不思議なくらいあっさりと貫いてしまう、この村の意思決定システムは古来からの日本そのものだ。いや日本に限らず、国家一般の姿かもしれない。家を焼かれてしまうことが決まったときの爺様のうろたえぶりは、意思決定者としての当事者意識のレベルを露呈しているように思える。

「七人」よりも「農民」側に眼を移すと、また、いろいろ生きるつらさが見えてくる。漂白者のつらさではなく、定住者のつらさ。今は定住者たちの事情に眼が向いてしまう。

それにしても嫌な見方をしたもんだ。「行動」よりも「状況」を見てしまう自分が不快だ。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)寒山拾得[*] uyo[*] chokobo[*]

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