[コメント] 007 スカイフォール(2012/英=米)
活劇シーンがトルコ、上海、マカオ、日本、イギリス、スコットランドと007シリーズらしく国際色豊かに展開される。それらはさまざまな移動手段上で、高層ビルで、廃墟で、地下通路で、そして見はるかす広大な平地の中で異なる色合いを持たせられている。活劇の傑作だ。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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ようやくクレイグ版ボンドが、ボンド・イメージの宗祖ショーン・コネリーに匹敵しえるに至った。
ただし、このクレイグ版ボンドには内面がある。コネリー版ボンドには内面の無さと引き換えに、男性観客が観たいものを見せる空虚な容器の大きさ感が際立っていたのだが、クレイグ版は、これまでのどのボンド俳優よりも、内面の密度の濃い男として描かれ、ようやく本作品でイメージが完成。内面の描写のために活劇と活劇の間にいろいろな説明が加わり、シリーズの中でも長い作品となっている。
実は、これ以降、クレイグ版ボンドはこの内面の脱化が図られ、諜報活動を余裕綽綽と楽しむコネリー版ボンドへの回帰が始まり、戦う相手として最上の敵であったブロフェルドが登場するのではないかと勝手に想像している。こうした円環的回帰現象をうまく使ってシリーズの延命が企図されるという見方である。ラストがあの懐かしいMの部屋。マネーペニーの秘書室に置かれたコート掛けと並んでわくわくさせるエピローグではないか。
これにてジュディ・デンチの登場はなくなるが、よく考えれば、意外にもどのボンド役よりも本シリーズに長く登場しておりデズモンド・ルーウィリンに次ぐ登場作品の多さである。長年の貢献に感謝。
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