[コメント] ガス燈(1944/米)
古典時代のサスペンスの傑作。結末が分かっているのに見せてしまうドライブ力は今なお、圧倒的。何度も見てよーくお勉強させてもらった。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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Q:そして何か学べましたか?
A:はい、この映画のポイントって「息苦しさ」です。まず、ガス橙のガスはもちろん、暖炉と石炭のエピソード、ロンドン名物の夜の霧などフレッシュな空気が乏しい印象を与える状況設定が出ています。呼吸に関する生理感覚を刺激する意匠立ですね。次に演技を見ますと、ロンドンの家庭に入ってからのイングリッド・バーグマンは家に閉じ込められて息苦しそうです。のどに手を当てるしぐさや、ハンカチで泣き声を防ぐしぐさなど、見ている観客の呼吸まで苦しくなる演技をしばしばします。家の窓が開かないことなどにも注目が必要です。これと見事な対照として、結婚する前のバーグマンはコモ湖畔のホテルでは、開放された窓辺に立ち、さんさんと降る陽光の下で実に気持ちよさそうです。シャルル・ボワイエも閉め切った屋根裏部屋を徘徊して埃まみれになります。そういえば、本編には登場しないけれども、叔母の死因も絞殺です。このように息苦しさを常に意識させるような演出が終始登場します。正直言って、あまりひねりもドンデン返しもない演出ですけれども、抑えるところが抑えられていてすばらしいと思います。もちろん、結末にバーグマンが窓の外に立つことも監督は忘れてはいません。
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