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[コメント] 上海から来た女(1947/米)

悲劇の「天才」オーソン・ウェルズが残したリヴィング・レジェンド。「お勉強」としての古典映画なんて思ってると、あなたは一生後悔する。

「天才」という言葉はあまり使いたくない。「天才」と言ってしまえば、それだけで何かを語った気になってしまうからだ。けれど、個人的に「天才」だと思う映画監督が3人いる。溝口健二ジャン・リュック・ゴダール、そしてオーソン・ウェルズ

「どうしてこんな映画が撮れるんだよ!?」と、彼らの映画を観るといつも思ってしまう。傑作にしろ、駄作にしろ、愚作にしろ、「天才」はハンパじゃない。傑作は徹底的に傑作だし、駄作は圧倒的に駄作だし、愚作は超絶的に愚作だ。

本作『上海から来た女』は、「天才」オーソン・ウェルズの傑作中の傑作である。「アメリカ映画の古典」や「ハリウッド名作シリーズ」の常連。けれど、だからと言って『上海から来た女』は、「お勉強」として観れるような代物じゃない。ウェルズの作品をつらぬいている「世界に対する不信」「最も愛してる者が最も信じられない」つまり「誰も信じられない」という(フィルム・ノワール的な)「孤独」が、この映画には最もヴィヴィッドに、最も美しく、つまり最もはかなく映し出されている。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (4 人)ジェリー[*] 甘崎庵[*] OK ゑぎ

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