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[コメント] デビルマン(2004/日)

那須監督は奇才だ。後世には無能な一般人にリンチにされた天才として君臨する予定だろう、本人的には。
torinoshield

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







自分はよくサッカー掲示板に書き込む。サッカーは見る方もそうだけど やってるプロにも「俺のサッカー観はこうだ」というのがあってその考え方が たまたま自分とシンクロすると思いが何倍にもなるものだ。

当然ながら全然違う考え方の人もいて、まあそれは当然それでいいのだが よくいる困ったちゃんパターンに違う思考回路の人を自分の枠に押し込めて むりやり解釈してしまう人がいる。 俺が「この時の選択肢はこれこれこういう考えの元に結果がこうなる事を想定して こういう選択を監督はしたと思う」と監督の思考回路を分析して書いているのに 「ほ〜、最初から失敗することを想定して行動するなど指揮官として失格ですな」などと 自分の思考回路でしか物事の分別が出来ない人。

普通こういう人は読解能力が無い上にただ言い争いに勝ちたいだけなので リーダー的立場に立つことは99%ない。何故ならリーダーとは 自分の意見もある上に人の意見を上手く処理しほぼ全員に近い人間が満足出来る結論を 導き出し且つ強力に事柄を推進出来る能力が必要だからだ。 自分の考えを恐ろしいほど曲解されてしかも変な結論を勝手に妄想され それに巻き込まれるのは迷惑なものだよ。

映画監督も(余程の芸術家肌で無い限り)普通に仕事としている人ならば大企業の 一部門のリーダーと言える。エンドロールの時HIROが何番まで歌ったか忘れるほど繰り返した 長い曲の間に流れたスタッフの膨大な数。そしてその分だけ動いた大金。これを一手に束ねるのが監督だ。

映画の場合、人の考えを読み取る=原作を読み取る能力でもあるとすると監督はそれを上手く皆が納得するようにまとめ上げなければいけない。ところがこの映画の監督は上で述べた困ったちゃんパターンなのだな。原作を読んで「成る程、友情と愛とバイオレンスと人類の愚かさを描けばいいのだな」 なんて軽〜く考えていたと想像出来るのは映画見りゃわかる。「人類は愚かだ」は原作にも出てくるんだがそれはサタンという人間より上の存在が言うセリフであってこの監督が言える立場には無い。愚かなのはお前だ。

原作は「煽り、偏見、疑心暗鬼」をサタン側が人間の弱点と知ってそれを利用して滅ぼそうと企てる。あくまでそういう意図が介在するから人類は滅ぶのだ。人の歴史で大虐殺が起きる時には決まってそういう人の弱点を巧妙に突いてくる「サタン的な人間」がタクトを振る。

ところがこの監督はタクトを振るまでもなく国が恐怖心から戦争を起こし人がリンチに走ると思ってるのな。それじゃあまりにも人を馬鹿にしすぎ。だから映画の途中でどんどこエスカレートしていく人類が単に演技をしている役者にしか見えないのだ。

結局のところ原作の解釈うんぬん以前に監督の人を見る目が圧倒的に不足していると言うしかない。こういう人がどうやってリーダー的位置に納まったのか?その1%の奇跡を映画にした方がリアルじゃないか?

(評価:★1)

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このコメントを気に入った人達 (9 人)サイモン64[*] 荒馬大介[*] 水那岐[*] 世界の終わりの果に リア[*] uyo[*] ゆーこ and One thing[*] ミュージカラー★梨音令嬢[*] tkcrows[*]

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