[コメント] 七人の侍(1954/日)
馬の蹄のなんと荒々しい事よ。セリフのテンポと音量の緩急見事。逆に言えば今の映画はどんなセリフでも聞こえすぎ。何故か→
音にはいろいろな処理方法がある。簡単なところではHIとLO、音量。 他に高周波数帯のみ歪ませる(音がはっきりする)とか小さい音量を 中間まで持ち上げ大音量を少し抑える機械がある。
今はこれらの機械を使いすぎでベッドでささやく声とビルが大爆発するシーンを何の問題もなく聞くことが出来る。本来ささやく声はささやかれた本人しか聞こえないだろうしビルの爆発は近くにいたらあまりの音量に鼓膜が破裂する。結局どちらもまともに聞こえないはずなのだ。・・・とこれは現状の技術とその為に起こった問題点。
で、この映画が作られた当時はそんな機械もなかったので当時の人達は 考えた。良く聞こえるように大きなはっきりとしたセリフで喋ること、と。 しかし大きい声で抑揚がないので演出的にはお粗末だ。黒沢監督はここら辺が我慢できなかったのだろう。聞こえなきゃ聞こえなくてもいい、と開き直ったおかげでどの役者も話のテンポを考え、音量を変え心情を演出している。結局なに言ってんだかわからなくても抜群の演出で状況は読めるからOKなのだ。冒頭の村人達の泣き叫ぶシーンなどはその最たる例。
又、画面の処理も思い切っていて凄い。フォトショップ的に言えば普通のモノクロ写真にコントラスト+50、明るさ-30といった処理を与えるとまさに七人の侍になる。後処理は無理だっただろうからリアルタイムで映像処理をしていった事になる。とんでもない人だ。
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