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[コメント] 天国と地獄(1963/日)

これは・・・・リアルすぎる。それが自分を1963年という時空に戻し、当事者にし、解決を心待ちにする一市民の立場にさせる
torinoshield

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







映画には力技の部分があって常人なら選択しないだろう愚かな選択というものが多々ある。まあ、それは結局クライマックスに向かわせる為にはどうしても通らなければならない部分だったりするのであうんの呼吸でそこはみんなスルーしたりする。

しかしこの映画はそれがないのだ。常人なら選択するだろうポイントは全て真っ当に当事者は行動する。全員が真っ当に行動してたら面白い話は出来ないだろうってか?世の中の珍事件はみんな真剣ですよ。当事者全員真剣。そこに面白さがあるのは根本での生き方に相違があるからだ。この相違がズレを生み両者一歩も引くに引けないバトルを生み出す。

この映画はそのリアル世界でのバトルに非常に似通っている。誰もが自分の置かれた位置でのベストを尽くす。だからこそ真剣勝負になる。オチが簡単に見えない。今ならありえないマスコミと警察の情報操作もある。こんな情報操作なら大歓迎である。

それがほんのちょっとしたポイントからダムの水漏れの如く一気に崩壊に向かう。これは実際の事件も同じ事がよくある。俺はこの映画を見てて映画を見ている気持ちにはならなかった。黒澤監督の映画には事件の当事者の様にさせる何かがあるのだ。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)けにろん[*] Myurakz[*] ジェリー[*]

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