パニック映画では一般客はパニック、主役は冷静というのが普通だがこの映画は最も冷静にならなければならない運転士が逆上してしまう辺りに意外性を感じる。というか変なリアル観がある。

かと思うと犯人逮捕の方が大事な警察（爆破装置解除が最優先なんだから本物の警察がこんなアホなことせんよ）、別れた夫なんだから自分には関係ないと新幹線乗客の事なぞどうでもよさげな元女房（もしかして高倉健のほうがこんな女だから見切りをつけたのでは？！）。 全員死んでしまう可能性があるのに大事な取引の為に新幹線を止めてくれと頼み込む乗客など、アナーキーな人達満載。

しかし、こんな人達がいるからこそ話がややこしくなる、予想外の展開に事件は進んだので全く飽きずに最後まで見ることに。不思議なバランス感覚を持った映画だな、と。

誰でも感じるチョットした疑問をひとつ。 新幹線を平行に走らせて梯子で工具類を渡したでしょう？あれで、乗客を隣の新幹線に移動出来なかったのかな？

危なくて無理という結論でも、あの大事な取引でパニクってた客が無理矢理渡って突風で吹き飛ばされて死んでしまう、とかそういうシーンも欲しかった。でないと、なんか消化不良で。