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[コメント] ゆきゆきて、神軍(1987/日)

彼の「正義の鉄拳」を「笑いと脂肪」に置き換えるとマイケル・ムーアになる。要はそうゆう事なのだ。
ピロちゃんきゅ〜

この奥崎謙三の主張は判り易い。判り易くて矛盾しまくっているだけに、狂信的な信者はいるにしろ、なかなか大衆までは煽動されない。むしろ、大衆が変わらない判ってくれない事で「自分だけが正しい」という基準にもなっているようだ。その根源となる理屈が「自分は正しいと思っている」ポイントにある。もう既に理屈を超えているのだ。AV出演だろうが(←ってホントなの?)殺人だろうが、これ全て正しいのだ。なんせ自分が正しいと思っての行動だから。そこに「これは正しいのか?」という自問はない。自分が正しいわけだから、自分を処罰する、あるいは否定するものは正しくないわけだな。まあ時代が違えば(例えば幕末〜明治初期とか)彼もいっぱしの政治家と見なされたろう。呪うなら角栄を呪うんじゃなくて時代錯誤で生まれてきた自分を呪うべきじゃないか?

しかし、戦争責任の取り方を巡って「正直、ズルしている」人間を糾弾するって意味では間違ってないのに、アピールの方法ひとつで随分とイメージって変わるものだなぁと実感したドキュメンタリーであった。まあ、戦争終わって何十年かたってりゃ誰だって平和に暮らしている。奥崎だけが未だに戦争中なのだから、その温度差ったら尋常じゃない。映画の企画が奥崎謙三という尋常じゃないキャラクターを記録しようとしただけの話で、その主義主張の内容に加担しているわけじゃないってのが、このドキュメントの微妙な所だとは思うが、結論として人間誰でもスーパーサイヤ人になれるのだという事実を見せる以上に、奥崎が強引で暴力的で戦争している姿が全てを食ってしまった為に、見てられない映画になった感が強い。まあ、戦争中はみんな奥崎謙三だったのだよ。彼が凄いんじゃなくて「戦争」が凄いんだな。ま、へらへら笑って見てしまうオレも人でなしかもしれないが。

しかし、かつての上官に対しては実弾で、なぜ天皇にはパチンコ玉なのだ。しかも得意気に。わけわからん。

(評価:★2)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)直人[*] けにろん[*]

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