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[コメント] 8 1/2(1963/伊)

天才はこうやって偶然を必然に変換する。それゆえに人々は天才と呼ぶのだ。が?
ピロちゃんきゅ〜

まず最初に、結果として「いい映画」になっている事はすばらしい事だと思う。思いつきと偶然に頼った創作は結果がいいか悪いか極端だ。自分は音楽屋なんで、映画の現場は知らないが、創作する現場という意味ではまぁ似たようなもんだろう。で、音楽的なレビューでいうと、この映画はXTCのデモテープアルバムみたいなもんかなと思う(作品の良し悪しは別)。あるテーマの1曲を作曲の段階から録音、デモ録音、フレーズつくり、アレンジ替え、初めて使う楽器での演奏、友達を呼んでのジャム、寝てて思いついたアレンジ、テンポを倍にしてみようか…、とこれらの作業工程をへて、最後にこうなったって曲を通して終わりみたいなアルバム(くどい!長くて意味が伝わりにくい。ごめん)。あぁでもないこうでもないというアレンジの工夫や幻滅、喜びなどの表現は事情を知る人間にはたまらなく魅力的で気持ちが伝わってくるものだ。だからこの映画は成り立つのだろう、と。そう思うわけですよ。映画に対して思い込みが強い人ほど高得点をつけそうな映画という感じがしないでもない。また、そんな人達が褒めるからスゴイって思う人もまた多い。賛否両論ではあろうが、ビートルズ(いわゆるロック社会でいう所のフェリーニ的カリスマ)の作品の中でいう「ホワイトアルバム」。あれは作っているうちに何かが起こって奇跡的にすばらしいものが生まれるさ!と思ったポールの誤りだよね。何も起きなかったし…。まぁ、ビートルズの事は置いといて(cinema scapeの姉妹サイトでmusic scapeとかが出来たら思いっきり語りたいとおもいます。よろしく館村さん。…な〜んて、ウソですよ。安心してね。)1歩まちがえばこの映画もそうなっていたと思うわけですよ。ただ、結果が大事なこの業界において、最終的にうまくまとまったあたりは本当にすばらしい。でも2度とすんなよって感じ。いたって作った人は結果を出しているが故に「あのレベルの映画はいつでも作れる自信がある」とか言っちゃうんだけど、絶対に同じレベルにはならない。やっぱ偶然は必然にはならないよ。ってな事で。やれたとしたらそれは世界の創造神アマテラス・ディス・グランド・エイダス・グリエス・フォースと呼んであげよう。結果として言えばこの映画は5点でもいいのだけれど、その創作アイディアが個人的にはNG。でも、結果はいいし…。う〜ん…。

P.S 自分のレビューにオチを付けるようでなんだが、もしこのレビューに例えばcinecine団さんやハイタカさんから投票受けたりしたら、ものすごく”いい気”になって「フェリーニはねぇ…」とかうんちくを足れるかも。…………………ま、ないよね。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)ルッコラ[*] ペペロンチーノ[*] tredair

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