[コメント] 夏至(2000/仏=ベトナム)
知らないだろうなー、「阿修羅の如く」。
NHKでやったドラマで昭和54年ごろに放映されたやつ。この映画の基本線となる、3人の娘(ドラマは4人の娘だったか?)。そして親の秘密。それぞれの恋人。ダンナ。 一番、違うのは、ここぞ!という場面でヴェルヴェットがででーんと入ってくるのに対し、あっちは「ペーペーペペッ!ペーペーペペッ!ペペーペ、ペペペ、ペーペーペペッ!」とトルコの軍隊行進曲「ジェッティンデデン」という歌がズンダララと入るところだ。もし、監督が「阿修羅の如く」を知っているのであれば、オマージュの意味で、このトルコサウンドを使うってのも…、あぁ、どうせなら、両方使えばいいのか。朝のシーンはヴェルヴェットでまったり。ここだ!っていうヤマのところでトルコサウンド。これだな。あの曲を使わない、あるいは意識してないって事は、きっと知らないって事だよね。残念である。
人間模様の粘質さとか、複雑さは向田邦子先生の方が遥かに力量が上回っているし核心を突いているんだけど、映画としては「魅せる」のが重要であるならば、この監督の技量はまたズバ抜けている。非常に美しい。エロいというか、視点が色っぽい。なんだけど、全体としては、つまらない。なぜか?ただ魅せるだけであれば、前半の1時間で充分であった。そこまでの美しさには5点を挙げたい。が、いかんせん、その後の展開に工夫が無かった。後半は美しさやイメージというよりもお話のテーマを深く掘り下げて、泥臭い所も魅せるべきだったのではないか。美しさにただ見とれていたい人は「後半サイアク」と酷評するだろうが、それ以上に、話に展開が無さ過ぎる!という人が3倍ぐらいはいそうな感じだ。ほんの1ショットでも、美しく官能的以外のシーンが欲しかった。2時間全部をイメージ優先にしすぎた為にダレてしまった映画であった。惜しい!
ピロQ総評 ::: ストーリーの上げ下げと曲のインパクトは「阿修羅の如く」に軍配をあげるが、映像美は圧倒的に「夏至」の勝利。でも、長女の色っぽさは加藤治子の圧勝だったな。で、いしだあゆみは完敗。男役でいくと宇崎竜童の一人勝ちですな。と、誰も知らないようなネタで語られてもなー。全くですわ。
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