[コメント] シティ・オブ・ゴッド(2002/ブラジル=仏=米)
『スナッチ』によく似た一人称の語り+変速リプレイ展開はチカチカしてみづらかったが、強烈なプロットを覆うオブラートには最適。選択の余地のない世界の不条理・理不尽の渦は、一見平和で豊かな総中流社会にほどよい刺激を与える。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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逃げるニワトリ、四面楚歌的シチュエーションのオープニング+エンディングは強烈な印象を残した。多弁で残酷で美しくて、そしてやりきれない。
でも、ふと思う。子どもを大人に置き換えれば、ギャング同士の殺し合い、はたまた日本のヤクザ映画とそれほどかわりない。ヤクザ同士の殺し合いに、人が顔をしかめることもない。
この映画がショッキングなのはこれが「実話」で、殺しあっているのが現実に存在する子どもたちだという、現実との距離感ゆえだろう。
子どもを支える大人の社会が City of God には存在しない。大人たちの生活が地に足のついたものではないからだ。社会が存在を認めたがらない、あぶれ者たちが安らかに死ぬためだけに存在する神のまち。
世界のあちこちにこういう「神のまち」は存在するのだろう。人の命がそれこそ虫けら同然の世界。現代社会が必死に実現しようとしている「命の重さ」教育は、豊かな経済が存在しなければ無意味な、机上の理想図にすぎないのかもしれない。
とかげのしっぽのように、切られても簡単に再生する子ども殺人団にどうしようもない暗さを感じた。
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