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[コメント] バリー・リンドン(1975/米)

現代風に言えば、「自分探し」と「しあわせ家族」願望のゆきつくところ。
カフカのすあま

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







「自分さがし」と称して、上昇志向にあふれる旅に出た青年がゆきつくところ、それは「ただの自分」。

「しあわせな家族」なんてものは、部外者の目でみるから「しあわせ」に見えるんであって、いつまでたっても隣の芝生。れんげ畑でどこに座ろうかと「あ、あそこにお花が密集している」と駆け寄っても、ちかくで見るとスカスカだ。「普通の人」が存在しないように、「普通にシアワセな家族」も実在しない。

噂のローソク光が美しすぎるぶん、背後にある、キューブリックの黒い思想が浮き立つ。足音も立てず、ぴったりと影のように寄り添う非情な絶望。悲しくて、恐ろしい。でも、共感。

そう、いまでは万人が平等である、と考えられている。

(評価:★4)

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