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[コメント] キャバレー(1972/米)

圧倒、圧巻。残酷な暴力が背景のハンサムなデカダン。腐った世界に滲んでくるいとおしさがたまらない。
カフカのすあま

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







冒頭から唖然。

踊り子が限りなくエロティックで、猥雑で、破廉恥。カメラの前をがんがん横切る黒い人影がたまらない臨場感をかもし出す。しかもキャバレーでの歌かと思えば同時進行の人間のドラマで、ドラマがまた歌になる。融合。

「ねえ、たばこもってない? 吸いたくてたまらなかったのよ」(てきとう訳) 同じセリフが同じ調子で繰り返されたとき気付く彼女の立場。

ナチスをなじったために蹴り殺される紳士の姿。美声に耳を傾けるとそれはナチスの青年で、人々がどんどん加わっていくと、ただ美しいだけの歌が、ヒトラーによる世界支配の歌になる。恐。

男爵にもてあそばれる二人は歴史の中の人間と一緒だ。

そして、音のない世界で流れるエンドロールは、「それから」の世界の暗示。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (4 人)ゑぎ[*] ジェリー[*] けにろん[*] ボイス母

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