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[コメント] 台風クラブ(1984/日)

非日常の世界で皆踊る。。非日常から日常へと着地した女の子と着地しなかった男の子。
蒼井ゆう21

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







この映画に出てくる男の子は皆何かしら日常世界での不器用さを抱えている。 女の子に硫酸?をかけてしまう子、おかえり、ただいま、を意味なく連発する子、授業中に交際相手の親に乗り込まれる男、中学生の女の子を自室に連れこみ、中学生をおまえ、と呼ぶ自称大学生、そして最後自殺してしまう主人公・・・そこでは、心ひそかに非日常を待望するという一点では共通しているものの、その原因、そして非日常に対する捉え方の違いが、男女の違いとなって表れているように思える。。 少なくともこの映画の女は、非日常を待望する理由として、日常に退屈 している、疲れた先の癒しの場というのが言えるだろう。。それに対して、男は、退屈しているというよりも、日常が生きにくいが故の逃避願望、のほうが近いように思える。つまり、女にとっての非日常とは、日常の延長線上にあるものであり、日常を前提として存在しているのだと思う。それに対して男にとっての非日常はそれ一つが独立した世界であり、ある意味日常との対立軸としての非日常ということからすると、非日常という存在ではなく、もう一つの「日常」、という捉え方のほうが正しいように思う。。だからこそ、ヒロインは、月曜日には学校=日常に戻り、主人公の男は自殺=もう一つへの日常へと行ってしまうのである。

(評価:★5)

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