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[コメント] ラヴソング(1996/香港)

メロドラマっぽい映画が苦手だったのに、見終わって感動している自分が意外だった。何度でも見たい良質の映画。北京語と広東語、二つの言葉が二人の関係に重要な役割を果たしていて興味深い。
ぷり

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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字幕にはハッキリと違いが反映されていないが、北京語と広東語、二つの言葉が二人の出会いに重要な役割を果たしていて興味深い。二人が出会う場面で、言葉が分からずにシウクワンがモジモジしていると、レイキウは声をひそめて北京語で言い直す。やっと意味を解したシウクワンの表情が、パッと明るくなる。叔母を除けば、慣れない香港で初めて出会った、自分と同じ言葉を話す女性。レイキウに親しみを感じるのも当然だろう。 一方で、香港人の振りをしているレイキウは、無邪気なシウクワンが北京語で話しかけてきて迷惑そうな様子。大陸出身者の香港人に対するコンプレックスをうまく表現している。虚勢を張っていたレイキウ。そのことに薄々気づきながら、レイキウの強がりを受け止めていたシウクワンの優しさ。後になってシウクワンに事実を話した時、彼女はやっと心から素直になれた。二人の関係が変化するエピソードが、自然に描かれている。

オーソドックスで地味だけど、丁寧に作った質の高い映画だと思う。都合良く偶然が重なるところも確かにあるが、それが気にならないほど、脚本と演出が良い!!手や、身体、視線のわずかな動きで感情が伝わってくるし、無駄な台詞がない。特にレイキウを演じるマギー・チャンの演技が冴えてる。

レオン・ライは、田舎者丸出しの振る舞いで、一面では身勝手な男のはずなのに、なぜか憎めない母性本能くすぐるシウクワンを好演。北京から4歳で香港に移住したレオン・ライにとっても、脚本段階から参加した思い入れの強い映画だという。NYの場面では、時の経過やシウクワンの変化を表すために体重をコントロールしたそうだ。

(評価:★5)

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