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[コメント] サンセット大通り(1950/米)

何も知らずに見はじめて、最後の出演者欄で飛びあがった。シュトロハイムだったなんてっ!シュトロハイムだったなんてっ!シュトロハイムだったなんてっ!
tredair

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







「やけに実名が飛び交う映画だなぁ。あれ? この顔は見たことがあるぞ…。この泣きそうなギョロ目、だれだったっけ? え!まさかキートン? ちょっ、ちょっと待ってよ、じゃあ、このお婆さんとお爺さんも有名な人なの? うわー、わかんねぇよ。気になってしょうがねぇよ。だいたいさっき上映してた無声映画はなんだったんだよ。ちゃんとこのヒロインの面影があったよなぁ。だいたいさ、この女優自体を知らないじゃん、私。まさかこの人も本当に無声映画の女王だったわけ? さっきのは彼女の代表作か何か? ああああ口惜しいよぉ。映画の歴史は深すぎるよ。ふう。後でくたーさんに電話しよ。きっと彼なら知ってる。キートンを発見しただけでも私にしてはいい方だよ。いや、違ってるかもしれないから迂闊にこちらから切り出すのはやめた方がいいかもな…。まず出演者欄を確かめてから電話だ。って、別に間違えててもいーじゃん。そんなことで馬鹿にするよーな人じゃないじゃん。」

「え、デミルに会いに行くってマジ? もしかしてそののデミル役も本物なの? それともそっくりさん? 〜 ふーん、このおじーちゃんがデミルなのかぁ。このぎこちない感じからするとたぶん本物なんだろうなぁ。何げに眼光するどいし。ハリウッドメジャーの元祖みたいな監督だって、淀川さんの本にあったような。大作主義だったっけ? だから『セシルB』はあえて狂ったセシルBなんだよね。でもさ、そんなこと言われても、実際にはこの人の映画を見たことないだもん。さびしいよなぁ。いま撮ってるやつはなんなんだろ。わかる人にはわかっちゃうんだろうなぁ。あー、口惜しくなってきた。どんな映画を撮る人なのかなんて、実際に見てみなきゃわかんないっつーの。10本近く組んで撮ったとか言ってたけど、本当かな? だったらそれを見てみたいなぁ。さっきのロウソクの映画もそうなの?」

「え? グリフィスにデミルはわかるけどもう一人は誰? マックス・フォン・マイヤなんちゃらとか言ってたよな。誰? 誰なの? 聞いたことないよ、そんな名前。忘れないようにしなきゃ。え? もしかしたらこの人も本物かもってこと? あ、そーなのかも。え、でもさー、マジでそんな名前、くたーさんのサイレントPOVにあったっけか? 自慢じゃないけど、アレをものすごく熱心に見てるのよ、私は。」

ということで、最後の出演者欄を目にした瞬間、本当にびっくり。マックス・フォン・なんちゃらというのは、 エリッヒ・フォン・シュトロハイムのことだったのね。んでもってこの女の人が、グロリア・スワンソンだったのね。名前だけなら聞いたことあったよ。だいたい、映画を見ながら本筋と離れたところでこんなに頭をフル回転させたのも初めてだよ。

うーん。確かにダークな話だし間延びしてて絶賛するほど面白くはなかったけど。それでも私は、この「サンセット大通り」を、無声映画の黄金期に本当に光り輝いていた人々に対する、ワイルダーからの敬愛を込めたちょっとひねたラヴレターである、と受けとりましたよ。だって、そこかしこに、無声映画に興味を持たざる得ないようなネタがてんこもりなんだもの。そんな気持ちになってしまうのは私だけ?

ともあれ。コメントやreviewでいろいろと教えてくださったみなさま、友人に電話するまでもなく、たいへん勉強になりました。どうもありがとうございます。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (7 人)りかちゅ[*] トシ[*] セント[*] 甘崎庵[*] ペペロンチーノ[*] にくじゃが [*]

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